写真術 | No.7 寝姿の魅力
猫は一日の半分以上を寝て過ごします。猫という名の語源は「寝る子」だとも言われているくらいです。忙しく働く人間にとってはうらやましい限りで、飼い猫の寝顔を見て会社に行くのがいやになったという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
猫の寝顔や寝姿には何かホッとさせられるものがあり、心をなごませてくれます。ぐっすり眠っている猫は、安心や信頼、平和を全身で表現しています。猫は寝ていることで飼い主の役に立っているのかも知れません。
私が主に撮っているのは人間のパートナーとしての猫なので、心を許した寝姿は大切なモチーフのひとつです。最近の暗い世相の反動なのか、寝ている猫の写真はとても人気があります。
特に、おなかを出して仰向けに寝ている姿は、野生動物ならまずありえないポーズでしょう。犬の場合、おなかを見せるのは優位の相手に対する服従を示すボディランゲージだそうですが、猫にはそんな殊勝な気持ちはサラサラないようです。
残念ながら、さすがに初対面のカメラマンにおなか丸出しポーズを取ってくれる豪傑猫はほとんどいません。「いつもはすごい格好して寝てるんですけどね・・・・・」と飼い主さんは残念がりますが、家族にしか見せないポーズがあるのは当然だと思います。それこそ、飼い主さんしか撮れない写真をものにするチャンスがあるということですから。