写真術 | No.10 いい猫写真とは・2
私が考える「いい猫写真」のポイントをご紹介しましょう。それは、猫の眼の表情です。猫が自然な状態で飼い主に心を許して甘えている時の眼と、不審者が来た時の眼はまったく違います。
猫が警戒していた時に撮った写真は、見ていてなんだか落ち着きません。いくらピントや構図がよくても、猫の警戒心や緊張感が写真にストレートに出てしまうからです。人間の写真でも、緊張してこわばった顔よりは、仲間同士でわいわいしながら撮った表情のほうがずっと感じがいいでしょう。それと同じことです。
さて、あなたがいいと思った猫の写真をもう一度見てください。たぶんあなたの選んだ写真は、いずれも猫の自然な姿を捉えているのではないでしょうか。
本音を言えば、私もよそのお宅の猫より我が家の猫を撮る方が、よりリラックスした写真になります。期せずして、ふんわり、のんびりした空気感が出るように思います。
機材やテクニックといったハード面はともかく、猫の心というソフト面は思うようには行きません。限られた時間内で、訪問先の猫の緊張感をいかにほぐして撮るかは、プロとしての私の仕事の大変重要な部分です。
猫が撮る人に心を開いている時が、最もよい写真を撮るチャンス。そしてそのチャンスは飼い主のあなたが握っているのです。