写真術 | No.14 お気に入りの場所
「どこで撮るんですか? いま連れてきますから」
「いつもはどこにいることが多いですか?」
「あそこです。でも、あんなところでいいんですか?」
家庭訪問方式の猫撮影は、いつもこんなやりとりから始まります。突然の闖入者に、猫は警戒しています。こちらの都合で撮影場所は決められません。お気に入りの場所にいる時は、猫も落ち着くのでしょう。リラックスしていい表情をしています。飼い猫を撮影するとき、撮影セットに連れてきて撮るのではなく、猫のテリトリーに出向いて撮るのが原則です。
さて、そのお気に入りの場所は猫によってさまざまですが、だいたい高いところ、暖かいところを好むのは皆さんご存知の通り。
窓際、テレビの上、陽当りのいいソファやベッドの上・・・・こんなところだと、比較的撮りやすいので内心ホッとしますね。
お気に入りの場所にいる猫に声をかけたり、鼻先に手を持っていって匂いを嗅がせたりしていると、警戒していた猫もだんだん落ち着いてきます。座り込んで毛づくろいでも始めたら、もうカメラを取り出しても大丈夫。慣れてくると、今度は別の場所に移動しても撮れるようになります。
「うちの猫、人が来るといつも押入れに隠れちゃうんです」・・・・・さすがに、この押入れ籠城猫さんは最後まで撮ることができませんでした。